就活中の面接で回答に困ってしまう質問の1つに「自分が思う長所、短所は?」が挙げられます。今回は、短所に焦点を置き、面接官の質問の意図と、その正しい答え方を例とともにご紹介します。
<目次>
●面接官が短所を聞く理由
・面接で短所を聞く理由:1. あなたの人となりを把握したいから
・面接で短所を聞く理由:2. 短所を打ち明ける誠実さを試したいから
・面接で短所を聞く理由:3. 客観的な自己分析力があるか見極めたいから
●就活の面接で短所を聞かれた際に押さえるべき3つのポイント
・ポイント(1):自己PRや長所の裏返しを意識する
・ポイント(2):致命的なエピソードを言わない
・ポイント(3):短所をどう表現するか~例文つき回答~
- 短所を表現する方法:オブラートに包んで話す
- 短所を表現する方法:素直になる
●おわりに
面接官が短所を聞く理由
なぜ面接官は、わざわざあなたの長所ではなく短所を聞くのでしょうか?
この質問の背景には、面接官の3つの意図が隠れていると考えられます。順番に解説していきましょう。
1. 人となりの把握
2. 誠実さの見極め
3. 客観的な自己分析能力の見極め
面接で短所を聞く理由:1. あなたの人となりを把握したいから
短所はあなたの人となりを知る上で重要なポイントであると考えられています。ポジティブな側面をアピールする自己PRでは、学生は得意げに自分の長所を語りますし、いささか誇張して話されることも多いでしょう。
短所を聞くのは、端的に言えば、ポジティブな側面だけでは見えない学生のパーソナリティを知るため。あなたのあら探しをしているのではなく、あなたが「自分をどのような人間だと理解しているか」を知ろうとしているのです。
面接で短所を聞く理由:2. 短所を打ち明ける誠実さを試したいから
誠実さはどの企業でも求められる大切な要素です。上っ面で話す人間は、選考の場でもビジネスの場でも信頼されません。誠実さを見極めるための方法の1つとして、自分の短所という話したくない内容であっても、率直に話すことができるかを試しているのです。
面接官は、短所の内容ではなく、短所の表現や伝え方で誠実さを見ているので、短所を聞かれたら素直に答える姿勢を見せるようにしましょう。
面接で短所を聞く理由:3. 客観的な自己分析力があるか見極めたいから
「ポテンシャル採用」といわれる日系の就活では、伸びしろのある学生が求められます。それを評価するための1つの指標となるのが、客観的な自己分析力です。自分の能力や立場を把握し、問題を解決するためには何をすべきなのかを導き出せる学生は、入社後の伸びしろが大きい人材だと判断されます。
その判断基準の1つとして、向き合いたくない短所を正しく把握できる学生は客観的な自己分析力があるとみなされます。自分の弱みを適切に把握し、それを克服または補うためにどうすべきかまで考えている学生は、面接官にとって将来の成長像が描きやすいのです。
就活の面接で短所を聞かれた際に押さえるべき3つのポイント
それでは、実際に面接で短所を聞かれたら、どう答えればいいのでしょうか。ポイントは以下の3つです。
・長所の裏返しを意識する
・致命的なエピソードを言わない
・短所をどう表現するか
それぞれ、具体例とともに解説していきます。
ポイント(1):自己PRや長所の裏返しを意識する
自分の短所を話す上での王道は「長所の裏返しを意識する」こと。長所と短所に一貫性を持って話せるのがこの方法の特長です。
例えば、「物事を先立って考え、計画的に行うのが得意」という長所の場合、「行動を起こす前によく考えることが多いため、動き出しが遅くなる」という短所が想定されます。
「計画性」と「動き出しの遅さ」のような表裏一体の長所と短所を話すことで、主張に一貫性を持たせることができるのです。また、短所を述べてから長所に触れれば自己PRにもなります。
一貫性と説得力がある上に、長所のアピールにもつなげやすいため、この「長所の裏返しにする」方法は多くの就活生に好まれ、就活においては一般的な手法として定着しています。そのため、テンプレートのような回答になりがちで、他の学生との差別化に弱いという欠点もあります。
しかし、面接官は短所の質問を加点対象ではなく、減点対象としていることが多く、マイナス評価を受けるような内容でなければ、テンプレート通りでも問題ないでしょう。
ポイント(2):致命的なエピソードを言わない
学生の人となりを把握するための短所に関する質問ですが、あまりに致命的な短所は避けましょう。
例えば、以下のような回答です。
・自分の人格が疑われる可能性があるNG回答
(例)「人と話すのが嫌い」「働くことが好きではない」「よくウソをついてしまう」など・自分が応募企業に向いていそうにないと思われてしまう可能性のあるNG回答
(例)「(研究職なのに)勉強が嫌い」「(企画職で)発想力がない」など
率直に話すことも評価対象となる短所の質問ですが、会社(社会)との明らかなミスマッチを感じさせる短所は控えるようにしましょう。
どんな人でも短所は複数あると思うので、その中から社会で生きていく上で致命的ではないものや、会社で働く上で致命的ではないものを選んで話すようにしましょう。
ポイント(3):短所をどう表現するか~例文つき回答~
ここまで短所の内容について説明してきましたが、面接官は短所の表現も評価の対象としています。
ポイントは以下の2点です。
・オブラートに包んで話す
・素直になる
それぞれについて説明します。
・短所を表現する方法:オブラートに包んで話す
同じ短所でも、表現次第で随分と印象が変わるものです。例えば、
1.「私は思い立ったらすぐ行動に移してしまうくせがあります」
2.「私は物事を見切り発車で始めてしまうくせがあります」
2つとも「計画性のなさ」を短所として挙げていますが、1が「素早い行動力」という長所につながる点を示しているのに対し、2では「見切り発車」という表現から、向こう見ずな印象を強く残してしまいます。
自分の短所を話す際には、なるべくマイルドな言葉を用いてネガティブな印象を減らすように言い方を工夫しましょう。
・短所を表現する方法:素直になる
就職活動に限らず、素直に自分の弱点をさらけ出す姿勢は相手に好感を与えます。これはひとえに、「相手が腹の内をさらけ出してくれている」という安心感があるからでしょう。
短所を問われて、モジモジとしたり、苦しそうに回答したりする学生を見て、面接官は安心するでしょうか?
短所は短所として割り切って話し、どう今後につなげていくべきかという視点で前向きに捉えているという姿勢を見せることで、面接官には安心感を与えることができます。短所を話すことには抵抗があるかもしれませんが、素直かつ真摯(しんし)に話すよう心がけましょう。
おわりに
いかがでしたか? 短所にまつわる質問は回答次第でピンチにもチャンスにもなりえます。「面接官がなぜ短所を聞くのか?」を念頭に置いて、自分のチャンスへとつなげる回答を用意しましょう。
(Photo:Aaron Amat/Shutterstock.com)
※こちらは2016年7月に公開された記事の再掲です。
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