こんにちは、トイアンナです。就活中、業界によっては質問されることの多い「『最近気になるニュース』は何ですか?」という質問。ニュースが古すぎると準備しすぎた感が出てしまうために時間を潤沢に使った事前準備はできない上、何を答えれば最適解なのか一見分かりづらいのが難点です。
ハッキリ申し上げますが、この質問に最高の回答をしても即内定へつながることはほぼありません。むしろ、この質問は業界への興味・関心と頭のキレをチェックしており、あまりにお粗末だと落とされる……というセンター試験の絞り込みに近い役割を担っています。
そこで今回は、一見難問である「最近気になるニュース」で無難に回答し、大きなミスなくやり抜く術をお伝えします。
<目次>
●業界に関するニュースを日頃から意識的に集めよう
●気になるニュースの「お作法」を守れ
●外資系投資銀行ではM&Aなど具体的なニュースを聞かれる
●商社のケーススタディは鮮度が大事
●広告業界ではPR、広告作りで締める
●おわりに
業界に関するニュースを日頃から意識的に集めよう
「最近気になるニュース」に関する質問がまず問い掛けるのは、業界への関心の高さです。面接で第一志望だと語る学生の中には、それほど志望度の高くない学生も紛れ込んでいることを採用担当者もよく理解しています。
ただ、志望動機はよく準備されてしまうと志望度が本当に高い学生なのか、ただ対策したからそう見えるのかが見分けづらくなります。そのため、不意打ちのように「最近気になるニュースは?」と業界へ本気で関心を抱いていない学生には答えられない質問を投げ掛けるのです。
ですからあらかじめ業界に関するニュースには日頃からアンテナを張り、意識的にピックアップする習慣をつけましょう。最も簡単なのはGoogle検索の「ニュース検索」で企業名を入れて調べることです。毎日見る必要はありませんので、1週間に1度くらいざっと目を通して情報収集しましょう。
気になるニュースの「お作法」を守れ
そして、実際に気になるニュースを聞かれたら下記の順番で答えられるよう、事前にめぼしいニュースを整理しておきます。
1.(端的な結論)
私が気になったニュースは◯◯です。2.(簡単な理由)3.(業界全体のトレンド)4.(志望企業への影響)
その理由は◯◯だからです。
業界では長年、◯◯があったと理解しております。
従って貴社には将来◯◯のような影響があると考えました。
このテンプレートに沿って回答をするだけで、結論から話しつつ自分の意見と合わせて情報を付け足す、よい返しができます。ここで注意したいのは、あまりに話題になっているニュースだと集団面接でネタ被りを起こす危険性がある点です。「絞り込み」としての目的から選考の序盤に課されることの多いニュース問題。できるだけ面接官にアピールし評価を得るためにも、グループ内で被っても問題ないよう2つ以上のトピックを備えておくことをおすすめします。
外資系投資銀行ではM&Aなど具体的なニュースを聞かれる
ここからは実際に、ケーススタディを見てみましょう。
まずは外資系投資銀行での回答例です。
<外資系投資銀行の回答例>
面接官:最近気になったM&A案件は何ですか?学生:
1.(端的な結論)
服飾ブランドのマイケル・コースが高級靴ブランドのジミー・チュウを買収した案件です。2.(簡単な理由)
理由はブランドの統合が強化される点に関心を抱いたからです。3.(業界全体のトレンド)
高級ブランド業界は仏系を中心にコングロマリット化が進んでいましたが、米系ブランドは単独メゾンも複数残っていました。しかし近年はコーチをはじめとする高級ブランドの失速が懸念されていました。今回の買収はコーチと競合にあたるマイケル・コースが仏系同様にブランドのコングロマリット化を目指す方針を示唆すると考えます。4.(志望企業への影響)
以降米系大型のブランドのM&A案件が増加し、貴社でも取り扱う可能性があると考えます。
外資系投資銀行では漠然とニュースを聞かれるより「最近気になったM&A案件は何?」「昨日の日経平均は?」などと具体的な質問が飛んできます。細かい質問に答えられるよう、日々新聞や経済記事をしっかり読んで対策することが重要です。
さらに業界の基本用語を説明させる「ROEって説明できる?」「LBOの弱点は何?」といった質問も飛んでくるのが外資系投資銀行ならではのニュース問題。簿記3級のテキストを読み、最低限の知識を身に着けましょう。
商社のケーススタディは鮮度が大事
次に、商社のケースを見てみましょう。ここでは豊田通商を想定して回答しています。商社では「気になるニュースある?」というざっくばらんな質問だけでなく、明らかに当日商社に関連するニュースがあると知ったうえで「今日の日経見た?」と投げかけてくることがままあります。面接当日のニュースもしっかり読んで挑みましょう。
<商社の回答例>
面接官:今日の日経見ました?学生:
1.(端的な結論)
はい、拝読しました。トヨタ自動車がレクサスの最上位モデルを出す記事に着目しています。2.(簡単な理由)
理由はもちろん貴社にまつわるニュースだからです。3.(業界全体のトレンド)
ここ数年、自動車業界ではMADE(Mobility, Autonomous, Digitalized, Electrified)がメガトレンドといわれ、実際にトヨタさんでも大手画像処理半導体会社のNVIDIAとの提携が記憶に新しいです。一方で、消費者にとって大切な「高級感」「わくわく感」といった感情的な便益が自動車から欠けていっているように感じていました。4.(志望企業への影響)
トヨタが発表したレクサス最高級モデルの登場は、「自動車に乗る喜び」というダイレクトな便益をあらためて消費者に訴えられることから、取引先である貴社も優位性を獲得できると考えます。
知識を問う外資系投資銀行と異なり商社では志望度の確認が第一なので、ニュースに着目した理由はぶっちゃけて「御社を志望しているからです」でも構いません。ただし、業界知識できちんと補強することで口から出まかせでないことを示す必要はあります。
広告業界ではPR、広告作りで締める
最後に、広告業界の例を見てみましょう。
<広告業界の回答例>
面接官:最近気になるニュースあった?学生:
1.(端的な結論)
はい、SNSのスナップチャットがニュース番組を配信開始したニュースが気になっています。2.(簡単な理由)
理由は短編動画へのニーズがさらに高まると考えたからです。3.(業界全体のトレンド)
SNSの変遷から、若者はより文字情報よりも画像や動画を追いかける傾向にあると言われています。Instagramで短編動画を配信するストーリー機能や、10秒までの動画しか送れないスナップチャットの流行も背景かと思います。4.(志望企業への影響)
スナップチャットのニュースが3~5分で配信されることから、まじめなコンテンツであるニュースさえもこれからは短編動画化が進むものと考えられます。御社でこれから広告作りに携わる上でも、短時間でも心を動かすコミュニケーションをクライアントへできればと考えます。
本記事で取り上げた3業界で最もストレートな回答を示せるのが広告代理店です。ただし媒体に関するニュースは学生同士で被る可能性も高いため、一歩リードするならクライアント企業にまつわるニュースを取り上げた方がよいでしょう。
おわりに
ここまで、3業界の典型的な気になるニュースの答え方をお伝えしました。それぞれ傾向は異なりつつも、同じテンプレートを活用して十分対策できることが分かります。まずはニュースを収集し、あなたの気になる内容で答えられるよう応募企業や業界に合わせて模擬練習をやってみてください。
※こちらは2018年1月に公開された記事の再掲載です。